自己破産をするとどうなる?デメリットを中心に、破産後の流れやリスクを解説
自己破産をしようか考えている人の中には、もし自己破産をしたら日常生活にどんな影響があるのか、周囲にも迷惑がかかるのかなど不安に思っていることが多いでしょう。
自己破産とは、失業したり収入が大幅に減少したりして借入金を返済することができなくなった人が裁判所に申立を行い認められるものです。
しかし、自己破産による免責の許可を受けるためには、必要書類を用意して、裁判所に対して申立を行うことが必要となるため、弁護士に依頼するのが一般的です。
本記事では、自己破産をした場合の影響、メリット・デメリット、手続きの流れについて解説します。また、自己破産について相談する際におすすめの法律事務所を紹介するとともに、自己破産に関してよくある質問と回答についても説明します。
自己破産するとどうなる?
自己破産とは、裁判所に返済ができない旨(自己破産)を申立た後に、破産手続の開始決定がなされ、その後、免責の決定がなされることによって一定の効果が発生する債務整理のひとつです。
自己破産をすると、具体的には以下のような効果が発生します。
借金の支払い義務がなくなる
自己破産をすると借金の返済義務がなくなります(免責許可がされた場合)。返済に苦しんでいる人にとっては大きな利点です!
しかし免責の許可を受けるためには、自分が保有している資産を清算(売却)して、債権者に配当する必要があります。返済できる資産があるのに返済しないのは、債権者にとっては理不尽だからです。
ただし、債務者が生活できなくなってしまうことは問題です。そこで、裁判所は一定の財産(99万円までの現金等は自由財産として破産財団から除外され手元に残せます。)については債務者の資産として保有することを許しています。
自己破産の手続においては、債務者の財産を清算・配当を実施して、それでも債務が残った場合にはその返済義務を免除することにしています。
手続き開始と同時に取り立て停止
取り立て停止のタイミングは、自己破産を弁護士に依頼する場合と自分自身で自己破産を申請する場合で異なります。
貸金業法21条1項9号によると、債務者から依頼を受けた弁護士から貸金業法の適用のある債権者(以下「貸金業者」といいます。)が通知を受けた場合、債務者に対する直接の取り立ては停止します。自分で自己破産の申請を裁判所にした場合には、裁判所から手続きを受けたことを記した書面が債権者に届いた時点で取り立ては止みます。
一般的には、弁護士に自己破産の手続きを依頼したほうが早く取り立ては停止されます。自己破産の手続きを開始しているのに取り立てをすると、貸金業者は二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金の刑事罰や貸金業の免許を取り消されたり行政指導を受けたりすることがあるので、自己破産の手続きを行っている期間の取り立ては停止されます。
なお、訴訟や差し押さえなど裁判手続きによる貸金の返還請求は禁止されていません!
訴訟は中断、差し押さえは停止
自己破産の手続きが開始されると、訴訟は中断され、差し押さえなどの強制執行も中止あるいは取り消されることになります。破産手続が開始される前には、債権者による提訴(訴訟の提起)や既に進行している訴訟を止めることはできないので速やかな自己破産手続きの申立が必要です。
既に強制執行に着手されている場合には、管財手続の場合は、その執行は中止あるいは取り消されます。管財手続とは、裁判所によって破産管財人が選ばれて、当該破産管財人が自己破産を申立ている人の保有財産を調査・管理して換価処分を実施し、そこで得た金額を債権者に配当する手続きです。
また、同時廃止事件の場合は、手続の開始によって差し押さえなどの強制執行は中止され、中止後に免責が決定可されると取り消されます。同時廃止手続とは、破産管財人を選ばずに破産手続の開始と同じタイミングで破産事件が廃止される手続です。
ただし、強制執行は破産手続の開始をうけて自動的に停止、あるいは取り消されるものではありません。強制執行を担当している裁判所に対して、強制執行の停止や取消の申立をしなければなりません。
自己破産しても免除されない支払い項目は?
自己破産をすると借金の支払義務が免除されますが、以下のように支払を免除されないものもあります。自己破産・免責許可を得ても免除されない支払いのことを非免責債権といいます。
税金・健康保険料・年金
破産法253条1項1号に定められているように、非免責債権の代表として、税金や健康保険料・年金保険料などの社会保険料といった公租公課は支払い義務を免れることができません。
公租公課を滞納したまま放置していると、自己破産・免責が認められたとしても、自分の財産を差し押さえられてしまう可能性があります。つまり、自己破産をして免責許可を得ても税金や社会保険料は支払う義務が残るのです。
養育費の支払い
自己破産・免責が認められても、養育費の支払い義務などは残ります。具体的には、離婚した際に子どもに対して発生する養育費、夫婦間において発生している婚姻に関する費用、親族間における扶養に関する費用、は法律で支払義務が定められています。
さらに、具体的な金額等は、家庭裁判所が審判によって定めることが可能です。
奨学金は連帯保証人に請求される
奨学金の返済義務を負っている人が、返済不能に陥り自己破産した場合にはどうなるのでしょうか。他の債務と同様に、自己破産し免責許可を得た場合には本人の返済義務は免除されます。しかし、奨学金を借りる場合には連帯保証人を立てることが一般的です。
したがって、本人が自己破産した場合には連帯保証人に対して返済が請求されることになります。つまり、奨学金の支払いを免れることができるのは、自己破産を申し立てた奨学金を借りた本人だけです。
自己破産のデメリット
自己破産をした場合には、非免責債権以外の債権に対する返済義務が免除されるというメリットがありますが、一方で下記のようなデメリットがあることには注意が必要です!
ブラックリストに登録される
自己破産した場合には、概ね5~10年間程度ブラックリストに登録されるというデメリットがあります。ブラックリストとは、信用情報における事故情報のことです。ブラックリストに登録されると新たなローンを組むことは原則としてできません。
他にも新しいクレジットカードの作成ができなかったり、マンションやアパートの賃貸契約(保証会社を利用する場合)を断られたりするケースも考えられます。ブラックリストから外れるまでには、長い期間を要する点にも注意すべきです。
財産が処分される
自己破産をする際には、保有している不動産などの資産や預貯金、有価証券、保険、などは処分されてしまいます。ただし、すべての財産が処分されてしまうわけではありません。
例えば、99万円までの現金等は自由財産として破産財団から除外され手元に残せます。本人にとっては価値がある家族写真のよう本人にとってはかけがえの無いものは、金銭的価値があると判断されない限り処分の対象にはなりません。
一定期間、公職につけない
自己破産した場合には、一定の期間内は公職に就くことができなくなります。具体的には、自己破産の手続きが完了するまでは、宅地建物取引士、公認会計士、税理士、警備員、公証人、などの職業に就くことができなくなってしまいます。
対象となる職業は、他人の財産を預かったり機密性の高い情報を取り扱ったりするようなものが多いです。
手続き期間中は郵便物をチェックされる
自己破産の手続き期間の間は、破産管財人に郵便物が転送されることになります。これは、自己破産に関して、債権者、債権の金額、自己破産を申請している人の財産などの正確な情報を得るために必要な手続き(ただし、管財事件の場合のみ)とされています。
破産管財人に転送された郵便物は後で本人に返還されます。なお、破産管財人は債権者、債権の金額、自己破産を申請している人の財産などの正確な情報を得る目的外には、郵便物を利用することはありません。
自己破産手続きの流れ
自己破産手続きの流れは以下の通りです。
- 弁護士に依頼する
- 申立の準備(書類の作成など)をする
- 【管財事件 少額管財の場合】 破産管財人による財産処分と債権者集会を実行する
- 免責が確定する
1.弁護士に依頼する
自己破産の申立は自分自身でも行うことは可能ですが、収集すべき書類や作成すべき書面が複数あるため弁護士のような専門家に依頼することをおすすめします。弁護士を探す際には自己破産などの債務整理について、豊富な経験を有する信頼できる人物・事務所に依頼しましょう。
自己破産の手続きは、申立の準備から免責の決定まで数か月かかることが一般的なので、さまざまな心配事が生じる可能性があります。そこで何でも相談できる信頼できる弁護士がいれば、精神的な負担を和らげることもできるでしょう。
また、弁護士が受任通知を債権者に送付することによって、取り立て行為は停止します。
2.申立の準備(書類の作成など)をする
自己破産の申立を弁護士に依頼したら必要な書類作成などの準備作業を進めます。
弁護士が作成する主な書類は、次の通りです。
- 破産手続開始申立書
- 債権者一覧表
- 預貯金・保険・積立金・不動産などの財産目録
- 公租公課の債権者一覧表
一方、申立人本人が用意する書類も多くあります。
- 陳述書
- 家計状況が確認できる書類(家計収支表)
- 住民票
- 所得証明資料(給与明細、源泉徴収票、市県民税証明書)
- 退職金受領予定額が分かるもの(退職金規定、退職金見込額の証明書)
- 資産証明資料(不動産登記簿謄本、固定資産税評価証明、保険証書のコピー・解約返戻金証明書、車検証・査定書など)
- 破産債権がわかる書類のコピー
- 預金通帳のコピー
- 賃貸借契約書(賃貸住宅に居住している場合)
陳述書(報告書)には職歴、家族関係、借入や返済の状況、破産を申請するに至った経緯・理由を記載します。また、申立前2ヶ月における1ヶ月分ごとの収入と支出を項目別に記載した資料も必要です。
申立に必要な書類は各地方裁判所の運用により異なりますし申立人の状況によって異なる場合があるので、依頼した弁護士とよく相談をして漏れがないように準備を進めましょう。
また、自己破産手続きの決定と同じタイミングで、同時廃止、管財事件、のうち、どの方法になるのかも決定します。
以下は、管財事件となった場合の説明です。
3. 破産管財人による財産処分と債権者集会を実行する(管財事件・少額管財の場合)
管財事件の場合は、自己破産手続きの開始が決定したら破産管財人による財産の処分と債権者集会の開催が実行されます。具体的には、申立人が保有している財産を売却して、債権者に対して配当を実施します。この手続きは、管財、3〜6ヶ月間くらいの期間を要します。
また、債権者集会は自己破産手続の開始決定後から3か月後くらいで開かれます。そこでは、事件の概要や配当見込みなどについて債権者に報告されます。財産処分が完了している場合には1回だけの開催で完了しますが、まだ財産の処分が完了していない場合には、次の開催期日を決めて再び債権者集会が開かれます。
4.免責が確定する
裁判所から免責許可の決定をもらって免責が確定します。免責が許可される前に「免責審尋」が行われます。
免責審尋の実施から2週間後くらいに、裁判所から無事に免責許可決定をもらえば自己破産の手続きは完了です。
自己破産の相談におすすめの法律事務所
自己破産は自分自身でも申立手続をすることができますが、手間や時間がかかり精神的な負担も相当重いでしょう。そこで、スムーズにストレスなく自己破産の手続きを進めるために、信頼できる法律事務所に相談・依頼することをおすすめします。
ベリーベスト法律事務所
事務所名 | ベリーベスト法律事務所 |
所在地 | 東京オフィス: 〒106-0032 東京都港区六本木一丁目8番7号 MFPR六本木麻布台ビル11階 |
連絡先 | 代表電話:03-6234-1585 代表FAX:03-6234-1586 |
拠点数 | 全国:63拠点 海外:2拠点 (2023年1月現在) |
設立日 | 2010年12月16日 |
取り扱い業務 | 法人の顧問弁護士、個人向けの債務整理、離婚問題、など |
所属弁護士数 | 386名 |
おすすめする理由
- 債務整理の実績が豊富
- 顧問弁護料が相場よりも安い
- チーム力を活かしたきめ細かい活動が可能
ベリーベスト法律事務所は相談方法が豊富なことから、債務整理の実績があります。
法人向け顧問弁護料は5万円以上/月が相場ですが、ベリーベスト法律事務所では、3,980円/月と格安の料金設定が人気の理由の一つです。
シニア層が多い事務所に比べると30代の若い弁護士が多いので、パラリーガルとのチームワーク力を活かした会社設計になっています。
サンク総合法律事務所
事務所名 | 弁護士法人サンク総合法律事務所 |
所在地 | 〒104-0032 東京都中央区八丁堀4-2-2 UUR京橋イーストビル2階 |
連絡先 | 代表電話:03-6234-1585 代表FAX:03-6234-1586 |
拠点数 | 1拠点 ((2023年1月現在) |
設立日 | 2017年6月20日に樋口総合法律事務所(2009年設立)から改名 |
取り扱い業務 | 企業顧問、離婚・相続・遺言、不動産取引、など |
所属弁護士数 | 8名 |
おすすめする理由
- 豊富な債務整理の実績
- アットホームで親しみやすい事務所
- いつでも(24時間365日)無料で相談可能
サンク総合法律事務所は、前身の樋口総合法律事務所から債務整理に注力しており、豊富な実績を有しています。
また、所属弁護士が8名と小規模な事務所ですが、迅速に適切なリーガルサービスを提供できるアットホームで親しみやすい事務所です。さらに、いつでも(24時間365日)無料で相談することができます。
弁護士法人・響
事務所名 | 弁護士法人・響 |
所在地 | 本社所在地(西新宿オフィス): 〒169-0074 東京都新宿区北新宿2-21-1 新宿フロントタワー14階 |
連絡先 | 電話番号(代表):03-6866-0289 FAX番号:03-6868-4999 |
拠点数 | 全国6拠点 (2022年6月時点) |
設立日 | 2014年4月1日 |
取り扱い業務 | 交通事故、債務整理、離婚、相続問題、など |
所属弁護士数 | 34名 |
おすすめする理由
- 何度相談しても費用は無料
- 豊富な相談実績
- 分割払いが可能
弁護士法人・響では、何度相談しても費用がかからないので、借金に悩んでいる人にとっては大きなメリットです。
また、相談人数が19万人以上と豊富な実績を有しているので安心して相談することができます。
依頼費用の分割払いに対応しているので、お金の問題で困っている人で、着手金などのまとまった初期費用の支払いを準備せずに依頼することが可能です。
広島メープル法律事務所
事務所名 | 弁護士法人広島メープル法律事務所 |
所在地 | 広島事務所: 〒730-0004 広島市中区東白島町14-15 NTTクレド白島ビル8F |
連絡先 | 電話番号(代表):082-223-4478 FAX番号:082-223-0747 |
拠点数 | 全国2拠点 (2023年1月時点) |
設立日 | 2004年10月 |
取り扱い業務 | 交通事故、債務整理、離婚、相続問題、など |
所属弁護士数 | 11名 |
おすすめする理由
- 弁護士とパラリーガルの協業による迅速な対応
- Zoom利用でのオンライン相談にも対応、キッズスペース完備
- 初回相談無料
弁護士法人広島メープル法律事務所は、債務整理に注力しており、豊富な実績を有しています。また、所属弁護士は5名と小規模な事務所ですが、事案ごとに担当弁護士と債務整理担当助手(パラリーガル)のチームで対応を行うため、迅速かつ適切なリーガルサービスを提供可能です。
裁判官経験者が在籍していますので、複雑な案件で裁判に発展した場合でも安心して任せることができます。
Zoom利用でのオンライン相談にも対応打合せ室内にキッズスペースが完備されているため、子供連れの方でも安心して相談可能です。
自己破産に関するよくある質問
自己破産に関するよくある質問を、回答と共に解説します。
差し押さえられている給料はどうなる?
自己破産をする前に債権者から給料が差し押さえられた場合には、自己破産の開始決定によって差し押さえが停止されます。 管財事件になった場合には、給料は全額が支給されるようになります。ただし、同時廃止事件の場合は、免責許可の決定が確定すれば全額が支給されます。
滞納している税金・健康保険料・年金はどうなる?
税金健康保険料・年金は非免責債権なので、自己破産・免責許可の決定を得ても支払いが免除されることはありません。つまり、滞納している税金・健康保険料・年金は自己破産・免責許可決定後も、支払う必要があります。
持ち家や車はどうなる?
原則としては、価値を有する財産は処分(売却・換価)が必要です。ただし、仕事や生活をするために必要不可欠な財産の場合は、場合によっては処分の対象にならない可能性があります。弁護士とよく相談をすることをおすすめします。
どんな行動が制限される?
自己破産の手続き中は、裁判所や破産管財人の許可や同意なく引っ越しをすること(居住地の変更)ができません。また、親族などの一部の債権者に優先的に弁済することも禁じられています。
家族や同居人にどんな影響がある?
自己破産した場合には、家族との共有名義となっている財産の破産者の名義分が処分されたり、保証人になっている家族に保証債務の弁済が発生したりする場合があります。
ただし、配偶者名義の財産が換価されることはないですし、家族がブラックリストに登録されるということはありません。
まとめ
自己破産は、借金の取り立てが停止して返済義務が免除される債務整理方法のひとつです。ただし、自己破産をした場合には、保有財産の処分が必要になったり、新たなローンを組めなくなったりするデメリットがある点には注意が必要です。
また、自己破産の申立は自分でも行うことが可能ですが、手続きの煩雑さを考慮すると法律事務所に依頼したほうがスムーズに手続きを進めることができるでしょう。法律事務所を選ぶ際には、経験や実績が豊富な信頼できる事務所を選ぶようにしましょう!